2026年秋 「おてつたび」な人々 北海道津別町

旅行記

こんにちは。「旅の、がっこう」の犬ポンです。

シルバーウイークを使って、北海道の津別町でジャガイモの収穫作業に参加してきました。10日間、土のにおいと、機械のリズム、そして一緒に働いた「おてつたび」の参加者たちの温度を、まるごと持ち帰ってきた気がします。

この記事では、津別町の魅力と、そこで出会った人たち、そして“収穫の裏側”で見えたことをコラム風に振り返ります。

津別町:森の町、川の町、そして畑の町

津別町(つべつちょう)は、北海道の東部に位置し、総面積の約86%が森林だと言います。産業の柱は、農業・酪農に加えて、林業・木材業。いわば自然と産業が、とても近い場所です。

女満別空港から車で約30分という距離感も、旅の「行ける現実感」がありました。

地名の由来も印象的です。津別川と網走川が並んで合流する様子を表すアイヌ語の「トゥペッ(tu-pet)」(2つの川)から来ているとのこと。

町の風景を思い浮かべると、言葉の根っこまで見えてくるようでした。

🍟カルビーの行先

収穫した“その先”は、意外と身近

町にはカルビーの工場があり、今回収穫したジャガイモの多くは、ポテトチップスやじゃがりこなどの材料になるそうです。

スーパーで手に取る商品が、畑の土とつながっている――そんな当たり前が、急に立体的になりました。

🚜「悟り」のはじまり:ハーベスターと“異物”の現実

収穫作業の中心は、土や茎を分けながら掘り上げる農業機械、ハーベスターです。1台に4〜6名が乗り込み、ベルトコンベアーで畑から上がってくるものを選別します。

ここで出てくるのは、もちろん“良いジャガイモ”だけではありません。

土塊や石、混ざり物が一緒に流れてきます。

そして、それらを取り除くのが私たちの仕事でした。正直、最初は大変でした。注意していても見落としそうになるし、作業が続くと身体も気持ちも「飽き」の波が来ます。

でも中盤から、変化が起きました。

不思議なほど、目が“良いものの輪郭”を覚えていくんです。

見ただけで分かる。選別の感覚が育っていく。

テレビの **「プロフェッショナル 仕事の流儀」**のナレーションと音楽が頭の中で勝手に再生されるようでした。

さらに深まったのは、次の気づきです。

収穫したジャガイモの中に石や異物が混ざると、最終的に農家さんの収入にも影響が出る。

つまり私たちは、“自分の作業をしている”のではなく、農家さんの暮らしを支える側に回っている。

その感覚が、最後の方でふと「悟り」に見えたのです。 生産から収穫、運搬、加工までの工程が、胃袋に届くまでの道のりは長い。だからこそ感謝が、ただの言葉ではなくなりました。

🤝おてつたび:働く旅人たちの“生活の設計図”

今回一緒に作業をしたのが、話題の仕組み 「おてつたび」。

人手不足の地域事業者と、旅をしながら働いてみたい人をつなぐ仕掛けです。

参加者の方々は、驚くほど“人生の使い方”が多彩でした。印象に残った方を紹介します。

👩Aさん(女性)

70代、しかも最高齢クラス。6年連続で参加しているそうです。

仕事もテキパキ、気も利いて、もう実務のプロの域。

東京のマンションを売って、東京近郊の高齢者向けマンションに住みながら、お土産屋さんで週2日働いているとのこと。働き方が軽やかで、説得力がありました。

👨Bさん(男性)

北海道在住の60代。年金を生活費にあて、おてつたびの収入は趣味の山登りに使うそうです。

ジャガイモ収穫の休日には、近場の山歩きを楽しんでいるというのが、なんともかっこよかったです。

👨Cさん(男性)

宮城県在住の60代。

函館の旅館で4週間、そのあと知床のキャンプ場で2週間、そして津別町で1か月半……と、かなり長いスパンで「おてつたび」を回していました。

趣味は道の駅めぐり。これもまた、旅心が仕事とつながっている感じがしました。

そして次は奈良で柿の収穫作業へ。行動が止まらない人でした。

🔁リピーターが多い理由:寅さんより早く家に帰れない(?)

おてつたびの参加者は、リピーターが多いとのこと。

次は四国、九州、宮古島でサトウキビ収穫……と、長期間参加する人がほとんどでした。

その一方で、私の頭には変な言い回しが浮かんできました。

「世の中にはフーテンの寅さん、寅子さんが多い…いつ家に帰るの?」

もちろん冗談ですが、それくらい“旅の継続”が自然に見えたのです。

(さくらやおいちゃんおばちゃんは、きっと心配しすぎないタイプなんだと思います。)

📉生き残り:人口減少の現実と、スマート農業の手触り

津別町の人口は、10年前は約5000人だったのが現在は約3800人。

地方自治体が抱える少子高齢化の“縮図”のような町です。

ただ、地方交付税だけに頼っていては生き残れない。

津別町では、JAや北見工業大学、NTTなどと連携し、スマート農業に向けたプロジェクトを進めています。

農地にWi-Fi環境を整備

ドローン活用

自動運転の農機具導入

全国でも注目されているらしく、私が参加している期間中も、担当職員さんが宮崎県での講演会に招待されていました。

「現場が動いている」という手触りが、町の未来を作っているように見えました。

🍂季節の移りかっわり:長雨の町から、秋が一気に来る町へ

9月19日から参加しました。

首都圏では記録的な長雨だったそうですが、北海道は晴天続き。

最初は汗ばむ夏のような陽気でしたが、中盤から朝夕の気温がぐっと下がり、秋の気配が濃くなっていきます。

そして最終日は、雪虫が舞い始めるほど。冬が近いという現実を、目で見て体感しました。

自然を満喫できたのはもちろん、第一産業の大切さと大変さを、身体で学べた10日間でもありました。

ただの“体験談”ではなく、「感謝の理由」を持ち帰れた時間だったと思います。

✅おわりに:土の上の学びが、生活に残る

収穫は、畑で終わらない。

それを確かに感じた旅でした。

ジャガイモの“行き先”も、人手不足の“現場”も、スマート農業の“取り組み”も、そして働く人たちの“人生の設計”も。

最後にひとつだけ言うなら―― この10日間は、胃袋ではなく、頭と心の方が先に満たされたのだと思います。

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